undercurrent

アクセスカウンタ

zoom RSS う〜ん、終わってしまった

<<   作成日時 : 2005/11/11 03:29   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 1 / コメント 0

icon って、パチのことじゃありませんよ(確かに、ここんとこまた無敵の引き弱状態で、負けが続いているけど)。「週刊モーニング」に連載されていた『蒼天航路』が、今週発売の50号で最終回となりました。

 これまで「三国志」と言えば、『三国志演義』を下敷きに、蜀の劉備を主人公に魏の曹操は敵役というものがほとんどで、善悪の図式がはっきりしていて、あたしゃ、これまでの「三国志」はあまり好きじゃありませんでした。しかし、『蒼天航路』は、正史の『三国志』を元に、魏の曹操を主人公にした作品で、「ネオ三国志」というキャッチコピー通り、これまでにない「三国志」でした。
 曹操を主人公に据えただけでなく、視点の与え方もこれまでにないもので、儒教という旧来の価値観とそれに基づくシステムの打破というのは、興味深い内容でした。また、これまで正義の側にあるものとして描かれてきた劉備も、最初はただの駄ぼら吹き、それが度重なる挫折の末に成長してゆく過程も面白かったです(あたしゃ、『蒼天航路』の劉備の方が、これまでのものより好き)。
 さらに、そうした人物設定やストーリーもさることながら、それに輪をかけて王欣太(KING☆GONTA)の絵もパワフルで迫力があり、実に破天荒。『北斗の拳』にもバカバカしいまでの圧倒的なパワーがありましたけど、王欣太の『蒼天航路』もそれに負けちゃいません。
 呂布はドレッドヘアーで、赤兎馬に乗って宙に跳んじゃいますし(って、北方騎馬民族はみんな跳べる)、人間の頭も片手で握りつぶしちゃう。なぜか孫家でひとり弁髪の孫策の最期も『北斗の拳』ばり。頭蓋骨が破裂して、血を噴き出しながら死んでゆきます。
 ストーリーや人物設定の斬新さに、圧倒的なパワーを持った絵が加わっているのですから、曹操が破格の人であるように、『蒼天航路』も破格のマンガ。ホント、毎週の連載が楽しみでした。
 ただ、そのような作品ですから、旧来の「三国志」好き、とりわけ劉備や諸葛亮(孔明)のファンの方は、この作品は目にしないほうがイイかもしれません。劉備に対するこれまでのイメージは完全に壊されていますし、諸葛亮に至っては変態色情魔、いわゆる「三顧の礼」の場において劉備に勃起したちんちんを見せちゃうぐらいです(このちんちんの描き方も、これまたグロい)。

 今週号を読んでわかったのですが、『蒼天航路』って11年も連載されていたのですね。途中、何度か休載の期間もあったけど、毎週、楽しみにしていた作品だったので、終わってみるまでは、そんなに長く連載されていたとは気づきませんでした。
 「ウィキペディア」で調べてみると、『蒼天航路』の連載が始まったのは1994年の10月。しかし、その4年後の1998年9月に、原作者の李學仁(イ・ハギン)が肝臓癌のため死去。そのため、それ以降は原作ナシとなり、李學仁の名は原案として残っているものの、王欣太ひとりで作成されてきました。ただ、李學仁が亡くなった際のモーニングの記事に、原案は残っているというようなことが書いてあったので、おそらくそれを元に王欣太がストーリーを組み立てていったのでしょう。

 しかし、連載も半ばも行かないところで原作者の李學仁が亡くなったのは、やはり悔やまれます。
 作品の内容から見ると、原作があったのは、おそらく「官渡の戦い」まででしょう。それがひとつの山場だったというせいもあるのでしょうが、「官渡の戦い」以降はそれまでよりテンションが下がっています。
 また、「官渡の戦い」以降は、エピソード的な描き方が多くなり、物語全体としてのストーリーがブツ切れ状態になっています。おそらくこれは、原作ではなく、断片的な原案を元に書いていったので、全体的な流れが生まれにくかったのでしょう。
 その原案も、詳しいものは「長坂の戦い」から「赤壁の戦い」までだったと思います。「赤壁の戦い」より後は、さらに全体のストーリーが見えなくなり、よりいっそうエピソード中心の話となってゆきます。
 ですから、『蒼天航路』の連載を楽しみにしていたことは確かなのですが、「赤壁の戦い」以降、特にここ数年は「う〜ん、これからどうなっちゃうんだろう」と、不安な気持ちで作品を読んでいました。大好きな作品がぐだぐだになって終わってゆくのは、見たくありませんから。
 そうして、いつごろだったか忘れてしまいましたけど、誌上で『蒼天航路』の連載が終わるというというのを見て、「これでどうやって話をまとめるんだろう?」と、興味の中心はその終わらせ方の方に移っていました。もちろん、その興味にはかなりの不安が入り雑じっていました。その時点で、ストーリーはまだまだ先がありそうな状態、そこから終わらせるにはかなりの力技が必要そうでしたから。
 今週号の最終話を読んでみると、その終わらせ方は、力技ではなく、逆に力を抜いていなしていました。絵にもあまり迫力がなく(曹操が乗ってる馬の造形はちょっとひどくない?)、どうやら王欣太、関羽の最期を描くのに、残っていたパワーを使い尽くしてしまったようです(『蒼天航路』が「BSマンガ夜話」で取り上げられたら、パワー減退についての指摘は絶対に出ると思う)。

 こうしたことを見ると、途中で原作者の李學仁が亡くなられたことは、やはり残念でなりません。原作者がいればこそ、王欣太も伸び伸びと迫力ある絵が描けていたのではないか、そんなことも思ってしまいます。
 とは言え、途中で原作者を亡くしたにもかかわらず、ここまでひとりで連載を続け、最後に曹操らしい死にざまを描いてくれた王欣太には、感謝したいと思います(夏侯惇と酒を酌み交わし、ふっと逝ってしまうというのは良かった。曹操の最期に立ち会うのは、夏侯惇をおいて他にないでしょう)。
 11年間に渡る連載、お疲れさまでした。素晴らしい作品をありがとうございます。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 5
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス
驚いた

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
蒼天航路
■はじめに ...続きを見る
九十九研究所@企業コレクション〜じゅげむ...
2006/01/14 00:09

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
う〜ん、終わってしまった undercurrent/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる