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zoom RSS デフレとインフレ(長いよ)

<<   作成日時 : 2010/01/02 12:51   >>

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icon 昨年の12月の下旬に、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」という番組で、「デフレとインフレのどちらがイイか?」という街頭アンケートをとってみたところ、年齢層が上がるにつれ、「デフレの方が良い」という回答が増え、若い世代ほど「インフレの方が良い」という回答が多いという結果が得られたとのことでした。そうして、その番組ではそれぞれの回答理由として代表的なものを放映したのですが、デフレを選んだ老齢者の理由は「年金は増えないので、物価が安くなった方がイイ」というもので、インフレがイイと答えた若者の理由は「賃金が上がるから」というものでした。
 年金生活者でなくても、おそらく40代以上の人間は、高度成長期にオイルショック、またバブル期を経験しており、インフレが進み物価が上がってゆくこと、つまり、貨幣価値が下がってゆくことを長い期間にわたって経験しているため、物価が下がるデフレの方を選択する傾向が強くなっているのでしょう。また、番組でも取り上げられていたように、年金生活者や貯蓄のある人にとっては、貨幣価値が下がるインフレなどもってのほか、貨幣価値が上がるデフレの方がイイとなるのは、むしろ当然のことです。
 一方、若い世代は、経験したのはせいぜいバブル期。しかも、経験したのは子供時分でしょうから、インフレによって貨幣価値が下がり物価が上がること、特に急激な物価上昇によってもたらされる家計の苦しさというのは、想像の範囲外になってしまいがち。現在の自分にとっての問題であるデフレによって引き起こされた賃金の低下ということの方に意識が行ってしまうのだと思います。

 私自身、「デフレとインフレのどちらを選ぶか」と問われれば、即座に「デフレ」と答えます。しかし、私は年金生活者ではないし、貯蓄なんてものもありません。ですから、その意味では、貨幣価値が下がったところで痛手はありません。
 しかし、物価が上がってゆくことの怖さやばかばかしさはわかっているので、インフレはご免です。近いところで言えば、ふた昔前のバブル期、あの頃、地価の上昇と相まって多くのものの値段が上がりました。「なんでこの程度のものに、そんな値段を払わなきゃならないの?」と疑問に思ったこともしばしばでした。しかし、私から見れば適正ではないと思える価格であっても、それでも買う人間が多くいれば、それが平然とまかり通る。
 もちろん、地価の上昇から始まる不動産の上昇、家賃・テナント代の上昇、さらには人件費の上昇といったことで、値段を上げざるをえず、あのときはそれが適正であったのかもしれません。しかし、中には「それでも売れるのだからそれで良し」としていたものもあったことは確かだと思います。
 ですから、現在のデフレは異常なのかもしれませんが、バブル崩壊以降、次第次第に物価が下がる傾向となり、デフレとなったことは、むしろ歓迎すべきことだと思っています。これまでずっと上がり続け、バブル期にバカみたいに上昇したのですから、バランスをとる形で物価が下がるのは当然のことではないのでしょうか。

 現在、デフレだということで、そこかしこで「デフレはたいへんだ」とか「デフレ対策を早急に」などという声が上がっていますが、こうした不安を煽る文句は実に無責任。物価が下がり貨幣価値の上がるデフレは、短絡的に問題視すべきものでもなければ、いたずらに不安を抱くものでもありません。問題なのは、物価が下がっているのにもかかわらず、生活が一向に楽にならないどころか、苦しくなっていることです。
 冒頭でテレビ番組での「デフレとインフレ、どちらがイイ?」というアンケートのことを取り上げましたが、これはアンケートにおける一種の詐術であり、アンケートでしか成立しない問いかけです。なぜなら、この問いには正解が存在しないからです。
 正しい答えを得たければ、正しい問いを立てること。不適切な問いからは正しい答えは出てきません。
 年金や貯蓄ということを考えれば、確かに「インフレよりもデフレの方が良い」という答えの方が正解となります。しかし、それを抜きにして賃金ということだけを考えた場合、デフレもインフレも「どっちが良いか」ではなく、それぞれにおけるバランスの問題となります。
 先のアンケートでは、若い世代ほどインフレを選ぶ傾向があり、その理由として代表的なのが「賃金が上がるから」というものであるということを書きました。しかし、いくら賃金が上昇したところで、その上昇率が物価上昇率を上回っていなければ、生活は楽になりません。一方、賃金の低下がなければ、物価が下がるデフレの方が生活は楽になります。

 このように、問いを単純化した「デフレとインフレ、どちらがイイか?」という問いかけは、アンケートとしては有用なものであっても、条件によって導き出される答えが変わってしまうため、問い自体の正解は求めることができず、不適切な問いということになります。
 デフレを短絡的に問題視したり、いたずらに不安がったりして出された「デフレから脱却するにはどうしたらイイか?」などという安易な問いは、このアンケートにおける問いかけと同じで、不適切なものとなります。なぜなら、問いを立てる出発点自体が誤っているのですから、その問いが適切なものとなるはずがありません。
 人々がどんなことを考え、感じているかということを探るためのアンケートならたとえ不適切な問いかけであっても、その回答には一定の意味があります(ただし、問いの立て方によって得られる答えは限定される)。しかし、正解を、言い換えれば解決策を求めるための問いであるのなら、正しい問いを立てなければなりません。不適切な問いからは正しい答えは得られず、そこには正しい解決策もありません。
 問題とすべきはデフレではなく、物価が下がり、貨幣価値が上がっているのにもかかわらず、なぜ生活が楽にならず、困窮し、景気も落ち込んでゆくのかということです。デフレ対策として限定的なインフレを引き起こすなどという方法も唱えられていますが、これなんかもデフレを罪悪視し、不適切な問いを立てた結果に出て来たものとしてしか私には思われません。
 仮にインフレ政策が採られ、幸いにもそれが成功し、デフレを脱却できたとしても、先に述べた通りそれがバランスを欠いたものであるのなら、見せかけだけ、数字だけの好景気というものが訪れ、生活困窮者は生活困窮者のまま、貧富の格差がさらに拡大し、数年も経たない内にインフレが加速してどうにもならなくなるか、逆に深いデフレの中に叩き落とされるかのいずれかとなるでしょう。

 その典型的な例が、日本におけるこの10年です。90年代初頭にバブル景気が崩壊し、その後、10余年にわたる不況に陥りました。しかし、2002年ごろから景気は持ち直し、サブプライムローン問題に端を発する金融問題が顕在化してくる2007年の秋まで景気は拡大し、大手企業も収益を上げ、この間の好景気は「いざなみ景気」とも呼ばれていたとのことです。確かに、2007年度にトヨタが過去最高益を上げたというニュースも目にしました。しかし、低所得者層に入る私には、この好景気なるものの実感はまったくありませんでした。
 この頃、私はパチで生活をしていており、就業、収入ということでは好景気の埒外にいたので、私自身に関しては実感がないのは当たり前といえます。しかし、好景気が言われながらも、近所で見かけるホームレスの数は一向に減らない。それどころか、次第次第に増えてゆく一方。2005年から2007年までの間、向島に住んでいる母親のところに居候をしていた間、隅田川沿いで見るホームレスの数は確実に増えていました。
 好景気だと言われながらも、生活が楽になっているという実感はなく、目にするホームレスの数も増えてゆく一方だという矛盾。ニュースを目にしても、「生活に困窮する人間が増えているのに、どうしてこれが『いざなぎ景気』以上の好景気なんだ」という疑問しか出こず、私はこの好景気なるものが「いざなみ景気」と呼ばれていたことさえ知りませんでした。私の生活範囲内では、好景気を実感できるものなどなく、それどころか、不況を感じさせるものばかりが転がっていましたから。
 私からすれば、この好景気なるものは数字の上だけのもの。落ちる人間、切り捨てられる人間は増えているけれど、ただ、それを大きく上回る形で一部分が突出して、全体としての数字を引き上げていただけとしか考えられません。そうして、景気が後退し、全体の数字を引き上げていたものがなくなると、底辺に蠢いていたものが顕在化してくるようになり、それがさらに拡大していっているというのが現状なのだと思います。
 インフレ政策が採られ、幸運にもそれが成功してデフレから脱却できたとしても、再びそのような数字の上だけでの成長や好況という状況がもたらされるだけで、良くて同じことが繰り返されるだけ、悪ければ抜け出しようのない深い闇に落ち込むことになります。
 これは間違いありません。なぜなら、デフレを罪悪視し、インフレによってそれを脱却しようなど唱えている人間は、ぬくぬくとした安寧の地におり、こうした底辺の現状を実感することもなければ、傍観者の立場で上から眺めているだけで、低所得者層がどのような状況にあるのかも理解していないのですから、そのような人間の考える対応策に底辺の領域が含まれているはずがありません。そうして、底辺の部分を考慮に入れていない対応策が、全体に効く有効性を持ちえるはずなどありません。

 結局のところ、デフレにせよ、インフレにせよ、低所得者層にとってはどっちも同じことです。デフレにより、企業の業績が悪化すれば人件費削減で、真っ先にリストラや減給の憂き目を喰らうのは立場が弱いところです。経営者や管理職の人間が、まず真っ先に自分たちの減俸を行ない、リストラを行なうなんてことは極めて稀です。
 逆に、インフレとなって、数字上の企業の業績がアップとしたとしても、底辺に位置する人間にそのオコボレが回ってくるのは後の方です。おいしいところは、まず上から、つまり力のある人間から取ってゆくというのが、この世の習いです。利益の分配において、「先憂後楽」などということはまず期待できません。
 ですから、こうした状況を残している以上、デフレであろうが、インフレであろうが、低所得者層には同じことであり、生活の困窮は変わりません。まず下にいる者を掬い上げる気がなければ掬われる者はなく、浮かび上がるものもない、そういうことです。
 にもかかわらず、デフレ対策なんてことからインフレだとかリフレだとかを持ち出されたところで、「はっ、上にいる人たちはイイ気なもんだね」となるだけ。そこに、景気を浮上させるだけの有効性を認めるなんてことは、到底できません。

 低所得者層という底辺が広がりを見せている現在、より状況は深刻であり、有効な対応策を考えつくのさえ難しくなっています。特に、日本は巨額の財政赤字を抱えており、政府が採れる手だてというものはかなり限定されます。さらに、この巨額の財政赤字は、景気の足を引っ張る大きな要因となっています。
 バブル景気が崩壊した後の不景気の時期に対して「失われた十年」という表現がありますが、私はこの最近の10年こそが「失われた十年」だと思っています。ぐだぐだになった自民党政治をそのままにし、赤字国債は垂れ流し状態で、かけ声だけの「改革」に躍らされ、数字の上だけ好景気に目を奪われていた10年間。その間、日本のメルトダウンは進行し続け、世界金融危機をきっかけに、その実態が顕在化するようになった。私の認識はそういうものです。
 ですから、私は政治に期待をすることはできないという考えでいます。もちろん、長く自民党のぐだぐだな政治を見てきましたから、その意味で「政治に期待するな」というのは昔からの考えでもあります。しかし、それとは別の意味で、政治に期待することはできないという考えがあり、それは民主党政治に変わっても同じこと。つまり、巨額の財政赤字を抱えている以上、政府が採れる方策は限られており、そこに期待を寄せること自体が間違いの元になるということです。
 政治に望めることと言えば、せいぜい「これ以上邪魔になるようなことはするな」です。巨額の財政赤字で足を引っ張っているのですから、さらに邪魔をされたのではたまったもんではありません。政治に対して「景気対策を」などといった要求をし、その実行を求めることは、財政をより逼迫させることへとつながりかねず、それは国民の生活や経済活動への足枷を増やすことへとつながります。
 現在、マスメディアで流布されている論調はそういったものが中心であり、また、デフレなどといったことに関しても、前述したようないたずらに不安を煽るようなものが多く、不適切な問いが平気で流されています。これでは、いつまで経っても景気など良くなりようがありません。望むべくもないところに多くを望み、不安に駆られ、不適切な問いから誤った答えにすがりつき、それでどうして問題解決への道を辿ることができるというのでしょうか。

 ん〜、ここまで書いて、ネタが尽きた。と言うか、まとめようがなくなっちゃった。
 ホントは、具体的な方策を示しつつ、とりあえず形がつくようにまとめるつもりだったんですけど、話が「ソレソレ〜」となっちゃって、結論の出しようがなくなってしまいました。
 ここまでのことを書いたんだから、形を整えるだけの結論をつけてまとめることなんてことはしたくないし、ん〜、それなりにネタはちりばめてあるんで、このままぶん投げちゃいます。

 自分が持っている基礎的な知識とわずかな情報を元に、ぱぱっとひらめいたことを論理的であるかのように文章をでっち上げるのは得意なんだけど、バックボーンが薄いと、「さらなる踏み込み」というところでやっぱり止まっちゃいますね。

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米国の低失業率とインフレ抑制
■日本の景気が米国に大きく左右される以上、米国経済のマクロ指標に敏感にならざるをえないが、米国労働市場が未曾有の低失業率でありながらインフレは抑制されているという事実を誰もが不思議がっているようだ。 今週の『The Economist』によればその要因は(1)労働力供給の拡大、つまり女性やマイノリティー、不法移民がどんどん労働市場に参入していること(当然不法移民は政府の正式な統計には現われない)、... ...続きを見る
愛と苦悩の日記
2010/01/21 13:22

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
鈴美さん こんにちは

なかなか素晴らしい内容に読みふけってしまいましたよ。充分踏み込んでますね。
現在の景気回復策として私は「情報操作」のみで解決してしまうんじゃないかな?という感じがします。
いたずらに不安を煽りまくっているマスコミ情報を、うまいことやれば景気良くなるんじゃないかな。

なんだか集団催眠で「景気が悪い」と騒ぎたてている部分も有るでしょうし、皆、不安感からお金使いませんからね。

国だって収入の倍以上の予算を組んでますから、ヤレヤレですな。財源どうするのよ?みたいな。

別にどうでもいいんですけど、私は今まで通り適当に生きて行きますけどね。

今年も運良く生き延びたいです。
ぽん茶
URL
2010/01/03 14:22
 ぽん茶さん、はじめまして。コメント、ありがとうございます。

 マスコミというのは、ホント無責任なもので、視聴率が取れればそれでイイという姿勢でいますから、いたずら不安を煽るものや、安易な批判しかできません。自分たちもまた社会の一員であり、ともに社会を良くしてゆくにはどうしたらイイかなんてことを考えることはまったくなく、やったとしても、せいぜい傍観者の立場から薄っぺらなことを口にするぐらいなものです。
 そんなマスコミが、ぽん茶さんが指摘されたように、ひとりひとりが景気回復の手助けとなるようなことをする情報などを流してくれれば、景気浮揚のきっかけも生まれてくるかもしれませんし、少なくともいたずらに煽られた不景気感は薄れてゆくことと思います。
 でも、今のマスコミがそうやって世の中の役に立つようなことをするとは、とても思えないんですけどね。

 まっ、あたしも、「何とかなるかもしれねぇし、何ともならないかもしれない。なるようになれだ」で、テキトーに生きてゆきます。

 あと、ぽん茶さんのブログ、ちょろっとだけですけど拝見しました。年々、パチの状況は厳しくなってますけど、頑張って勝っていってくださいね。あたしも今年は、ん〜、しばらくは身動き取れそうにないけど、自己崩壊を起こさないようしっかりやってゆくつもりです。
鈴実
2010/01/04 07:17

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